じっ、っという視線を感じる。
「な、なんですか?スーさん」

表情をあまり動かす事が少ないスウェーデンに見つめられると、フィンランドはいつも焦るような気持ちになる。

特に、今のようにじっと観察するように見られると落ち着かない。動物園の動物にでもなったようだ。胃潰瘍になった猿もいると聞く。
フィンランドは自分が見世物でなかったことを神に感謝した。
しかし、スウェーデンの視線をにみぞおちのあたりがちりちりとしてくるような気がする。

―怖い!

スウェーデンといるときはいつもフィンランドばかりが喋る。
ユーラシア大陸の北に在るスウェーデンとフィンランドは共に寒さの厳しい土地である。痛みすら感じる冷たい空気を肺に入らないよう、人々は口を大きく開けることなくぼそぼそとした話し方になってしまうのが北国の常である。
しかし、威圧感すらあるスウェーデンの沈黙に耐えられず、いつもフィンランドの口だけが忙しなく動く。
寒さより沈黙の方が耐えかねるフィンランドであった。

「そんな見なくても!なんなんですか〜」
厳しい表情であらゆる角度からフィンランドを眺める
―何か自分におかしいところでもあるのだろうか。怖い!
「僕の顔に何かついてますか?」
「ん」
「そのん、は何ですか?どっちですか?やだな〜もうスーさんてばー」
間が持たなくていつものようについぺらぺらとしゃべってしまう。
口数も少なく、感情も表に出ないスウェーデンの行動は、フィンランドにとっては理解しにくい事が多かった。
凄みのあるその風貌でフィンランドの回りを回っていたスウェーデンが何かに納得したようにうなずき、今度はフィンランドの顎に手を添えて顔を色々な角度に傾けながらまたじっくりと観察する。

―怖い!

「やっぱり顔に何かついてます?さっき僕昼ご飯食べたんですけど、パン屑でもついてたかなぁ」
するりと頬を撫でられて、ぞくりと悪寒のようなものが背筋に走る。

―怖い!

なおもすりすりと頬や、髪をかき上げて額などを撫でられ、フィンランドの緊張は極限まで高まった。
怖あいいいいい!!!!!

「も、もースーさんてば自分だけで納得しちゃうんだから〜。何だったんです?やっぱり何かおかしいですか?」
あはははは!フィンランドの乾いた笑いが寒々しく響く。
その笑いの余韻が引いたとき、やっとスウェーデンの重い口が開いた。


「まんず、おらが嫁っこはどっから見てもめんけぇだなど」



―怖い!














「フィンランド」ってスウェーデン語なんだって!と知ってダダ萌えしました。フィンランド語ではフィンランドはスオミらしいですなんかかわいい。
北欧いいよ北欧