「ねーねードイツー俺のこと好き?」

唐突に発せられたイタリアの言葉に、ドイツは頭を抱えたくなった。

確か今は対イギリス戦に向けての軍事訓練の最中であり、好きとか嫌いとかが関係のあるときではなく、ドイツからしてみれば不可解窮まりない。

「お前は…訓練は真面目にやらないわ、実戦ではあっさり降伏するは、ナンパばっかりするわ、手榴弾は投げ間違えるわ、機密をあっしゃりしゃべるわ…」
「ヴェ、ヴェー。ドイツごめんよぅ…」

ついだらだらとイタリアに対する不満を漏らし出したドイツにイタリアは叱られた子犬のようにしょげ返る。

「お前はヘタレだ、ヘタレ過ぎる!…しかし、まあ、パスタは確かに美味い。ピザもモッツァレラチーズも美味い。ワインもグラッパも美味いな」
「…ドイツ?」
「ローマ時代の遺跡もルネッサンスの絵画や彫刻もすばらしい。地中海を望む景色も風光明媚だ。まぁ…お前にもいいところは沢山ある。それは好ましい」
「ドイツー!」

イタリアがタックルのようなハグをかますが、ドイツはそれを受け止めることなくあさっての方を向いている。しかしその耳はビールをしこたま飲んだときのように赤い。
「ドイツードイツー!俺もね、ドイツ好きだよ。ずっと…ずっと前から好きだよ」
「馬鹿か…俺はまだ若い。そんな昔からいるわけないだろう」

イタリアの言葉を大袈裟だと取ったドイツは苦笑した。

「うん、うん、そうだね。でも俺はドイツが生まれる前から大好きだよ」

イタリアは痛みを我慢しているような顔で笑った。


















基本の独伊
神聖ローマだったころの記憶ないドイツってことで。